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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』CGに携わるスタッフトークイベントを実施!

2021年07月02日

 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の6 月11 日(金)の公開を記念し、毎週行われているスタッフトーク。7月1日(木)は3DCGに携わるスタッフトークイベントが実施されました。本イベントにはCGディレクターの増尾隆幸、CGデザイナー帖佐太郎、制作デスクの岩下成美、そして司会を務めるサンライズ第1スタジオのプロデューサー仲寿和が登壇。4人が本作の世界を支える『動く美術』の舞台裏をテーマに、実際に画を見せながら解説いたしました。

 

以下レポート

6月11日(金)に公開した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。大ヒットスタートになった本作の3DCGに携わるスタッフトークイベントが実施された。7月1日(木)はCGディレクターの増尾隆幸、CGデザイナー帖佐太郎、制作デスクの岩下成美、そして司会を務めるサンライズ第1スタジオのプロデューサーである仲寿和が登壇し、制作の裏側についてたっぷり語った。

もうお馴染みとなった、ハイジャック犯のカボチャマスクを被った司会・仲が登場し、温かい拍手で迎えられた。

そして、今回のゲストである増尾と帖佐、岩下の3名が登場。今作に参加した経緯を聞かれ、増尾は「村瀬監督の『虐殺器官」にてCGIディレクターを担当した後、『ブレードランナー ブラックアウト2022」もご一緒させていただき、そこからの流れで今回も呼んでいただきました。村瀬さんは、ものすごく真面目。細かいところまで神経が行き届いているからこそ、このような作品に仕上がったと思います。」と述べ、帖佐は「『虐殺器官』からご一緒させていただき、今回参加に至りました。村瀬監督作品には独特のリアリティがあり、演出がすごくかっこいい。こと演出も作画も撮影もできて、本当に多才だと思います。」と村瀬監督の印象について語った。

増尾は「今回は「動く美術」を目標にして作業に取り組みました。美術として描かれたものが三次元的に動く為の画作りを目指す表現方法として有効な手段がカメラマップです。なので、今回も複数のカットで取り入れています。例えばハウンゼンの機内は、非常に複雑な構造かつ限定された空間なので、カメラが動くだけで見え方が相当変わってきます。ただそれを普通に3Dで作ってしまうととてもCG的になってしまうんです。そこでハウンゼンの機内では、まず普通にテクスチャーを使用したモデルを作って、それを一度レンダリングし、その素材にレタッチをかけてより画的なタッチが活きるようにしました。この様に3D的なカメラワークのカットでは、カメラマップを使うことで美術を活かしながら立体的に仕上げています。」と使用用途によるこだわりをもって制作されたことがわかった。

次に、ダバオ市内シーンのカメラマップは帖佐が担当。車が行き交うシーンでは「レイヤー数がとても多かったですね。一枚画だけでも20枚以上はあると思います。美術の絵をいかに違和感なく、綺麗に見てもらうかが肝なので、美術を発注するための画の下敷きを作成することにものすごく気を使いましたね。この1カット作るのだけで、色々と他のシーンと並行してやっていますが、数ヶ月は携わっていたと思います。」と丁寧に時間をかけて作られたことが明かされた。

そして、半島を飛行艇が旋回するシーンについて増尾は「海と波は3DCGで作られています。半島はカメラマップを使って表現しました。簡易的なモデルを作成し、複数枚用意してもらった背景素材をそこに貼り込むことで仕上げています。今作でも評判の良いカットです。」と自信をのぞかせた。

海面のディレクションも増尾が担当し、「監督から海面は3DCGを使って作りたいとのオーダーがありました。ただリアルに作り込むのは案外簡単ですが、リアリティを持たせつつアニメの世界になじませるバランス取りが難しかったです。」と語り、アニメならではの苦労が垣間見えた。

帖佐はこのシーンを見て「海の表現はただリアルに作るのではなく、美術の絵と綺麗に馴染むように作られていて感動しました。」と、感想を語った。

ラストカットのカメラマップは帖佐が担当し「もう作業的にも終わりかな? と思ったタイミングでの依頼だったのですが(笑)、美術さんも短い時間ですごくいいものを仕上げてきてくれたので助かりました。ラストカットだったので光栄でした。」と、完成ギリギリまでCG作業をしていたことも明かされ、増尾は「誰に頼もうかと思っていたのですが、もう帖佐さんしかいない、という感じで頼みました。無事にできてよかったです。」と回顧した。

ここで時間が来てしまい、最後の挨拶に。増尾は「無事、第1部が大ヒットで公開できて嬉しいです。第2部も楽しみにしていてください。」と述べ、帖佐は「緊張して汗が止まらなかったです(笑)。次回作も楽しみにしていただけると嬉しいです。」と語った。また岩下は「3Dが2Dに寄り添っていただけたからこそできた表現になっています。ぜひもう一度劇場で観て確かめていただけたらと思います。」と締めくくった。

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